【第3回】 先生たちだけで、遊具の安全を背負わなくていい

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【第3回】
先生たちだけで、遊具の安全を背負わなくていい〜「日常点検」と「専門家の領域」の境界線〜
【第3回】
先生たちだけで、遊具の安全を背負わなくていい〜「日常点検」と「専門家の領域」の境界線〜

この記事の筆者:大坪 龍太(プレイグラウンド・セーフティ・ネットワーク/IBRA 代表) この記事の筆者:大坪 龍太(プレイグラウンド・セーフティ・ネットワーク/IBRA 代表)

いつもと違う変化 いつもと違う変化

幼稚園、保育園、学校の先生方から、こんな不安の声を聞くことがあります。
「毎日見ているけれど、本当に安全か自信がない」「見落としで事故が起きたら私の責任?」「どこまで確認すればいいの?」
日々の保育や教育業務を抱える先生方に、遊具の構造まで専門的に判断するよう求めるのは酷です。
第3回となる今回は、現場の先生方の「精神的な負担」を減らしつつ、重大事故を確実に防ぐための考え方――「日常点検」と「定期点検(プロの領域)」の明確な境界線についてお伝えします。
まず大前提として、先生方の役割は「専門家のように安全性を診断すること」ではありません。毎日見ているからこそ気づける「いつもと違う変化」を見つけ、必要な人(専門家など)につなぐことです。
幼稚園、保育園、学校の先生方から、こんな不安の声を聞くことがあります。
「毎日見ているけれど、本当に安全か自信がない」「見落としで事故が起きたら私の責任?」「どこまで確認すればいいの?」
日々の保育や教育業務を抱える先生方に、遊具の構造まで専門的に判断するよう求めるのは酷です。
第3回となる今回は、現場の先生方の「精神的な負担」を減らしつつ、重大事故を確実に防ぐための考え方――「日常点検」と「定期点検(プロの領域)」の明確な境界線についてお伝えします。
まず大前提として、先生方の役割は「専門家のように安全性を診断すること」ではありません。毎日見ているからこそ気づける「いつもと違う変化」を見つけ、必要な人(専門家など)につなぐことです。

保育士の先生による園庭遊具の日常点検(イメージ生成画像) 保育士の先生による園庭遊具の日常点検(イメージ生成画像)

文部科学省も「先生がすべて点検する」とは求めていない 文部科学省も「先生がすべて点検する」とは求めていない

2024年に文部科学省が公表した「学校における安全点検要領」では、金属疲労や腐食など専門性が必要な点検は「専門家へ依頼する」ことが示されています。教職員が行うのは、あくまで業務に付随する「日常点検」の範囲にとどめるよう、負担軽減に配慮されています。
先生方に求められているのは「安全の証明」ではなく、「昨日と違う状態になっていないかの確認」なのです。
2024年に文部科学省が公表した「学校における安全点検要領」では、金属疲労や腐食など専門性が必要な点検は「専門家へ依頼する」ことが示されています。教職員が行うのは、あくまで業務に付随する「日常点検」の範囲にとどめるよう、負担軽減に配慮されています。
先生方に求められているのは「安全の証明」ではなく、「昨日と違う状態になっていないかの確認」なのです。

先生だからこそ気づける「子どもの目線」 先生だからこそ気づける「子どもの目線」

専門家は遊具の構造には詳しいですが、毎日そこで遊ぶ子どもの様子は見ていません。
● どの遊具に子どもが集まるか
● どこで転んだりぶつかったりしやすいか
● 小さい子がどこまで登ってしまうか
文部科学省も、日常点検では「子どもの目線」に立つことが重要としています。遊具本体だけでなく「子どもがどう遊んでいるか」を見られるのが、先生方の最大の強みです。
専門家は遊具の構造には詳しいですが、毎日そこで遊ぶ子どもの様子は見ていません。
● どの遊具に子どもが集まるか
● どこで転んだりぶつかったりしやすいか
● 小さい子がどこまで登ってしまうか
文部科学省も、日常点検では「子どもの目線」に立つことが重要としています。遊具本体だけでなく「子どもがどう遊んでいるか」を見られるのが、先生方の最大の強みです。

日常チェックで見つけたい「いつもと違う」 日常チェックで見つけたい「いつもと違う」

専門知識がなくても、五感を使って以下の変化に気づくことはできます。
● 目で見る:傾き、部品の外れ、大きなサビやひび、地面のくぼみなど。雨の後の滑りやすさの確認も重要です。
● 耳で聞く:「ギギギ」「ガタン」といった異音や、部品が擦れる音がないか。
● 触れる(無理のない範囲で):不自然なぐらつき、部品の外れかけなど。(強く揺らしたり登ったりする危険な確認は不要です)
● 子どもの言葉を聞く:「ここ動くよ」「変な音がする」という言葉は、見えにくい異常を知らせる重要なサインです。
専門知識がなくても、五感を使って以下の変化に気づくことはできます。
● 目で見る:傾き、部品の外れ、大きなサビやひび、地面のくぼみなど。雨の後の滑りやすさの確認も重要です。
● 耳で聞く:「ギギギ」「ガタン」といった異音や、部品が擦れる音がないか。
● 触れる(無理のない範囲で):不自然なぐらつき、部品の外れかけなど。(強く揺らしたり登ったりする危険な確認は不要です)
● 子どもの言葉を聞く:「ここ動くよ」「変な音がする」という言葉は、見えにくい異常を知らせる重要なサインです。

異常を見つけたら、先生だけで判断しない 異常を見つけたら、先生だけで判断しない

変化を見つけたとき、先生がその場で「使える・使えない」を最終判断する必要はありません。以下の4つが基本です。前回、自治体・施設の管理者向けにお伝えした基本行動と、考え方は共通しています。
1.利用を止める:不安がある場合は使用させない。
2.状態を残す:日時・場所・内容を記録し、写真を撮る。
3.責任者へ報告する:園長・校長や施設担当者へ記録を残す形で報告する。
4.専門家へつなぐ:専門技術者に確認してもらう。(テープで巻くなどの応急処置は、新たな危険を生むため避けましょう)
そして、地面の中の基礎の腐食、パイプ内部のサビ、金属の疲労、木製部材の内部腐朽、首が挟まる隙間の確認などは、専門知識や器具が必要です。これらはプロの定期点検に任せる領域です。
変化を見つけたとき、先生がその場で「使える・使えない」を最終判断する必要はありません。以下の4つが基本です。前回、自治体・施設の管理者向けにお伝えした基本行動と、考え方は共通しています。
1.利用を止める:不安がある場合は使用させない。
2.状態を残す:日時・場所・内容を記録し、写真を撮る。
3.責任者へ報告する:園長・校長や施設担当者へ記録を残す形で報告する。
4.専門家へつなぐ:専門技術者に確認してもらう。(テープで巻くなどの応急処置は、新たな危険を生むため避けましょう)
そして、地面の中の基礎の腐食、パイプ内部のサビ、金属の疲労、木製部材の内部腐朽、首が挟まる隙間の確認などは、専門知識や器具が必要です。これらはプロの定期点検に任せる領域です。

「あそび場を守るネットワーク」で役割分担を決める 「あそび場を守るネットワーク」で役割分担を決める

安全管理の失敗は、「情報が途切れること」から起きます。「異常に気づいたが誰に報告すればいいか分からない」「報告したが専門家に連絡がいかなかった」といった事態を防ぐため、園や学校内で、誰が気づき、誰が判断し、誰が専門家に連絡するかという、安全を支える仕組みとしての役割分担を明確に決めておくことが重要です。 安全管理の失敗は、「情報が途切れること」から起きます。「異常に気づいたが誰に報告すればいいか分からない」「報告したが専門家に連絡がいかなかった」といった事態を防ぐため、園や学校内で、誰が気づき、誰が判断し、誰が専門家に連絡するかという、安全を支える仕組みとしての役割分担を明確に決めておくことが重要です。

「境界線」を引くことが、先生と子どもの両方を守る 「境界線」を引くことが、先生と子どもの両方を守る

細かすぎるチェックリストは負担になるだけです。「写真を使う」「自由に気づきを書ける欄を設ける」など、先生の意見を取り入れて使いやすく工夫しましょう。チェックリストは、気づきを共有し、専門家へつなぐためのツールです。
また、一からリストを自作するのではなく、専門事業者が作成・公開している「シンプルな日常チェック用のテンプレート(チェックシート)」をベースにして、自施設向けにアレンジして活用するのも非常に効果的です。
細かすぎるチェックリストは負担になるだけです。「写真を使う」「自由に気づきを書ける欄を設ける」など、先生の意見を取り入れて使いやすく工夫しましょう。チェックリストは、気づきを共有し、専門家へつなぐためのツールです。
また、一からリストを自作するのではなく、専門事業者が作成・公開している「シンプルな日常チェック用のテンプレート(チェックシート)」をベースにして、自施設向けにアレンジして活用するのも非常に効果的です。

チェックシートを使った園庭の日常点検(イメージ生成画像) チェックシートを使った園庭の日常点検(イメージ生成画像)

「ここは私たちの仕事、ここから先はプロの領域」と境界線を引くことで、先生方は過度なプレッシャーから解放されます。
専門的な悩みはプロに任せ、先生方は「子どもを見るプロ」として、日々の遊びを見守ることに力を注いでください。「いつもと違う」に気づき、次の人へ確実につなぐ。それこそが「あそび場を守るネットワーク」での、先生にしかできない何より重要な安全管理なのです。
「ここは私たちの仕事、ここから先はプロの領域」と境界線を引くことで、先生方は過度なプレッシャーから解放されます。
専門的な悩みはプロに任せ、先生方は「子どもを見るプロ」として、日々の遊びを見守ることに力を注いでください。「いつもと違う」に気づき、次の人へ確実につなぐ。それこそが「あそび場を守るネットワーク」での、先生にしかできない何より重要な安全管理なのです。

専門技術者による定期点検(イメージ生成画像) 専門技術者による定期点検(イメージ生成画像)

(次回予告)第4回(前編)は、「危ないから撤去する」は本当に正解なのかを考えます。子どもの成長に必要な「挑戦」と、取り除くべき「ハザード」の違いを解説します。 (次回予告)第4回(前編)は、「危ないから撤去する」は本当に正解なのかを考えます。子どもの成長に必要な「挑戦」と、取り除くべき「ハザード」の違いを解説します。

PROFILE

この記事の筆者:大坪 龍太 この記事の筆者:大坪 龍太

(プレイグラウンド・セーフティ・ネットワーク/IBRA 代表) (プレイグラウンド・セーフティ・ネットワーク/IBRA 代表)

子どもの成長・発達に必要な「リスク」と、除去すべき「ハザード」を、ベネフィット・リスクアセスメント(BRA)で切り分けて考える、パーク・マネジメントの専門家。国土交通省の安全指針やISO4980;2023(BRA)の策定委員の経験を基に、全国の自治体や施設管理者へ向けたBRAに関する普及啓発活動を行 子どもの成長・発達に必要な「リスク」と、除去すべき「ハザード」を、ベネフィット・リスクアセスメント(BRA)で切り分けて考える、パーク・マネジメントの専門家。国土交通省の安全指針やISO4980;2023(BRA)の策定委員の経験を基に、全国の自治体や施設管理者へ向けたBRAに関する普及啓発活動を行

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