【第2回】 子どもたちの笑顔と、現場の職員を守るために

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【第2回】
子どもたちの笑顔と、現場の職員を守るために〜法的リスクとプロフェッショナルな備え〜
【第2回】
子どもたちの笑顔と、現場の職員を守るために〜法的リスクとプロフェッショナルな備え〜

てすと てすと

この記事の筆者:大坪 龍太(プレイグラウンド・セーフティ・ネットワーク/IBRA 代表) この記事の筆者:大坪 龍太(プレイグラウンド・セーフティ・ネットワーク/IBRA 代表)

「子どもたちにはのびのび遊んでほしいけれど、万が一重大な事故が起きたら、一体どうなってしまうのか……」
その不安が大きくなり過ぎると、「少しでも危険があるなら使わせない」「責任を問われる前に撤去する」という判断に傾きがちです。しかし、安全管理の目的は、責任を避けるために子どもの遊びをなくすことではありません。重大なハザード(危険源)を取り除きながら、子どもが挑戦し成長できる環境を守ることです。
そのために、前回は「予防保全」について、管理者と専門家が「あそび場を守るネットワーク」でどの様に役割分担をするかについて、お話ししましたが、現場の皆さまの頭には「法的責任(リーガルリスク)」というプレッシャーが常にあると思います。今回は、遊具事故が発生した際の「国家賠償法」の現実を紐解きながら、国土交通省の「安全指針」とプロの技術を活用して、自治体の信用と現場の職員を守るための「積極的なリスクマネジメント」について考えます。
「子どもたちにはのびのび遊んでほしいけれど、万が一重大な事故が起きたら、一体どうなってしまうのか……」
その不安が大きくなり過ぎると、「少しでも危険があるなら使わせない」「責任を問われる前に撤去する」という判断に傾きがちです。しかし、安全管理の目的は、責任を避けるために子どもの遊びをなくすことではありません。重大なハザード(危険源)を取り除きながら、子どもが挑戦し成長できる環境を守ることです。
そのために、前回は「予防保全」について、管理者と専門家が「あそび場を守るネットワーク」でどの様に役割分担をするかについて、お話ししましたが、現場の皆さまの頭には「法的責任(リーガルリスク)」というプレッシャーが常にあると思います。今回は、遊具事故が発生した際の「国家賠償法」の現実を紐解きながら、国土交通省の「安全指針」とプロの技術を活用して、自治体の信用と現場の職員を守るための「積極的なリスクマネジメント」について考えます。

「事故が起きた=管理に問題があった」ではない 「事故が起きた=管理に問題があった」ではない

公園で子どもがけがをしたからといって、直ちにすべてが公園管理者の法的責任になるわけではありません。遊びには身体活動が伴うため、転んだりぶつかったりすることを完全になくすことは不可能です。
自治体の公園で事故が起きた場合、国家賠償法第2条(=道路や公園など公共施設の管理に不備があった場合に、国や自治体が賠償責任を負うことを定めた規定)との関係が問題になることがあります。大切なのは、「けがが起きた」という結果だけを見るのではなく、施設の状態、点検の実施、異常を把握した後の措置、その記録などを具体的に確認することです。日頃から管理の手順を決め、実行し、説明できる記録を残すことが、事故防止と適切な事後対応の両方につながります。
国交省の指針に沿って「JPFA資格を持つ専門技術者による年1回以上の定期点検」が実施され、その「客観的なエビデンス(報告書)」が残されているかが重要です。(※保育園や学校など民間施設の場合は、民法第717条(=土地の工作物に欠陥があり、それが原因で他人に損害が生じた場合に、その工作物の占有者や所有者が負う賠償責任を定めた規定)等に基づき、検討事項が異なりますが、適切な点検と記録の重要性は共通しています。)
公園で子どもがけがをしたからといって、直ちにすべてが公園管理者の法的責任になるわけではありません。遊びには身体活動が伴うため、転んだりぶつかったりすることを完全になくすことは不可能です。
自治体の公園で事故が起きた場合、国家賠償法第2条(=道路や公園など公共施設の管理に不備があった場合に、国や自治体が賠償責任を負うことを定めた規定)との関係が問題になることがあります。大切なのは、「けがが起きた」という結果だけを見るのではなく、施設の状態、点検の実施、異常を把握した後の措置、その記録などを具体的に確認することです。日頃から管理の手順を決め、実行し、説明できる記録を残すことが、事故防止と適切な事後対応の両方につながります。
国交省の指針に沿って「JPFA資格を持つ専門技術者による年1回以上の定期点検」が実施され、その「客観的なエビデンス(報告書)」が残されているかが重要です。(※保育園や学校など民間施設の場合は、民法第717条(=土地の工作物に欠陥があり、それが原因で他人に損害が生じた場合に、その工作物の占有者や所有者が負う賠償責任を定めた規定)等に基づき、検討事項が異なりますが、適切な点検と記録の重要性は共通しています。)

国の安全指針は「誰か一人で守る」とは考えていない 国の安全指針は「誰か一人で守る」とは考えていない

国土交通省の指針では、公園管理者の役割として「遊びの価値を尊重しつつ、リスクを適切に管理しハザードの除去に努める」ことが示されています。
維持管理については「安全点検を行う」「結果に基づき措置を講じる」「記録を残す」とされていますが、「すべてを管理者だけで行いなさい」とはしていません。
外部の専門業者への委託も想定されており、大切なのは、それぞれの担当範囲を明確にし、情報を確実につなぐこと。これこそが、専門家と管理者が連携し合う「安全を支える仕組み」をつくることに他なりません。
国土交通省の指針では、公園管理者の役割として「遊びの価値を尊重しつつ、リスクを適切に管理しハザードの除去に努める」ことが示されています。
維持管理については「安全点検を行う」「結果に基づき措置を講じる」「記録を残す」とされていますが、「すべてを管理者だけで行いなさい」とはしていません。
外部の専門業者への委託も想定されており、大切なのは、それぞれの担当範囲を明確にし、情報を確実につなぐこと。これこそが、専門家と管理者が連携し合う「安全を支える仕組み」をつくることに他なりません。

「安全を支える仕組み」で子どもの笑顔と職員を守る(イメージ生成画像) 「安全を支える仕組み」で子どもの笑顔と職員を守る(イメージ生成画像)

安全点検の役割分担:「日常」「定期」「精密」 安全点検の役割分担:「日常」「定期」「精密」

遊具の安全点検には種類があり、役割が異なります。
● 日常点検(いつもと違うに気づく):管理者や担当者が、目視や触診で「昨日までとは違う異常(ぐらつき、サビなど)」に気づくこと。
● 定期点検(詳しく確認する):年1回以上、専門技術者と協力して、基礎部分や内部の腐食など、日常では見えにくい部分を確認します。
● 精密点検(疑わしい箇所を調べる):異常の可能性が見つかった際、専門技術者が器具を使って詳細に診断し、修繕や更新の判断材料を提供します。
遊具の安全点検には種類があり、役割が異なります。
● 日常点検(いつもと違うに気づく):管理者や担当者が、目視や触診で「昨日までとは違う異常(ぐらつき、サビなど)」に気づくこと。
● 定期点検(詳しく確認する):年1回以上、専門技術者と協力して、基礎部分や内部の腐食など、日常では見えにくい部分を確認します。
● 精密点検(疑わしい箇所を調べる):異常の可能性が見つかった際、専門技術者が器具を使って詳細に診断し、修繕や更新の判断材料を提供します。

専門技術者による定期点検(イメージ生成画像) 専門技術者による定期点検(イメージ生成画像)

異常を見つけたときの4つの基本行動 異常を見つけたときの4つの基本行動

最も避けたいのは「少し気になるが、まだ使えそうだから様子を見よう」と放置することです。異常を見つけた場合は、以下の4つを基本とします。
1.利用を止める:必要に応じて使用中止にし、子どもが入れないようにする(物理的な立入り防止策など)。
2.状態を記録する:日時、場所、内容を記録し、写真を残す。
3.専門家に相談する:自己判断せず、専門技術者へ連絡する。
4.対応後に確認する:修繕後、問題解消を確認してから使用再開する。
最も避けたいのは「少し気になるが、まだ使えそうだから様子を見よう」と放置することです。異常を見つけた場合は、以下の4つを基本とします。
1.利用を止める:必要に応じて使用中止にし、子どもが入れないようにする(物理的な立入り防止策など)。
2.状態を記録する:日時、場所、内容を記録し、写真を残す。
3.専門家に相談する:自己判断せず、専門技術者へ連絡する。
4.対応後に確認する:修繕後、問題解消を確認してから使用再開する。

異常が見つかった場合には状態を写真で記録する(イメージ生成画像) 異常が見つかった場合には状態を写真で記録する(イメージ生成画像)

最大の法的リスク:「点検から修繕へのタイムラグ」 最大の法的リスク:「点検から修繕へのタイムラグ」

「プロの点検で危険が見つかったが、予算申請や業者選定に時間がかかり放置している間に事故が起きた」――これが最も危険なシナリオです。危険を予見しながら回避措置を講じなかった場合、「重過失」とみなされる可能性があります。
法的リスクを抑えるには、「的確な点検」と「迅速な修繕」がタイムラグなしに繋がっている必要があります。
だからこそ、日頃から「点検」から「修繕」、さらには予防保全のための「長寿命化対策(防錆・再塗装など)」までを一貫して相談できる信頼性の高い専門パートナーをあらかじめ確保しておくことが、現場の職員を守るための最善の防衛策になります。
事故の可能性をゼロにはできませんが、「点検→異常への対応→専門家への相談→修繕→記録」という前回お話した連携の仕組みを整えることはできます。責任への不安を、撤去ではなく、その仕組み「あそび場を守るネットワーク」による「確かな管理体制」をつくる力に変えることが、子どもと職員の両方を守ることにつながります。
(次回予告)次回第3回は、学校や保育現場の先生方に向けて、「先生が行う日常チェック」と「専門家に任せる点検」の境界線について考えます。
「プロの点検で危険が見つかったが、予算申請や業者選定に時間がかかり放置している間に事故が起きた」――これが最も危険なシナリオです。危険を予見しながら回避措置を講じなかった場合、「重過失」とみなされる可能性があります。
法的リスクを抑えるには、「的確な点検」と「迅速な修繕」がタイムラグなしに繋がっている必要があります。
だからこそ、日頃から「点検」から「修繕」、さらには予防保全のための「長寿命化対策(防錆・再塗装など)」までを一貫して相談できる信頼性の高い専門パートナーをあらかじめ確保しておくことが、現場の職員を守るための最善の防衛策になります。
事故の可能性をゼロにはできませんが、「点検→異常への対応→専門家への相談→修繕→記録」という前回お話した連携の仕組みを整えることはできます。責任への不安を、撤去ではなく、その仕組み「あそび場を守るネットワーク」による「確かな管理体制」をつくる力に変えることが、子どもと職員の両方を守ることにつながります。
(次回予告)次回第3回は、学校や保育現場の先生方に向けて、「先生が行う日常チェック」と「専門家に任せる点検」の境界線について考えます。

PROFILE

この記事の筆者:大坪 龍太
この記事の筆者:大坪 龍太

(プレイグラウンド・セーフティ・ネットワーク/IBRA 代表)
(プレイグラウンド・セーフティ・ネットワーク/IBRA 代表)

子どもの成長・発達に必要な「リスク」と、除去すべき「ハザード」を、ベネフィット・リスクアセスメント(BRA)で切り分けて考える、パーク・マネジメントの専門家。国土交通省の安全指針やISO4980;2023(BRA)の策定委員の経験を基に、全国の自治体や施設管理者へ向けたBRAに関する普及啓発活動を行う。 子どもの成長・発達に必要な「リスク」と、除去すべき「ハザード」を、ベネフィット・リスクアセスメント(BRA)で切り分けて考える、パーク・マネジメントの専門家。国土交通省の安全指針やISO4980;2023(BRA)の策定委員の経験を基に、全国の自治体や施設管理者へ向けたBRAに関する普及啓発活動を行う。

INFORMATION

【専門相談窓口のご案内】 【専門相談窓口のご案内】

あそび場の安全管理を支える あそび場の安全管理を支える

「点検記録の残し方や、報告書の整え方に不安がある」「不具合が見つかった後、迅速に修繕まで進められる体制を整えたい」――そうした不安は、多くの管理者様が抱える共通の悩みです。
本サイトの専門相談窓口(運営:KTS)では、JPFA基準に基づく的確な点検・報告書の作成から、異常発見後の迅速な修繕対応まで、「点検から修繕までのタイムラグ」を生まない体制で、自治体・施設の法的リスク低減と信頼確保をサポートしています。いつでもお気軽にご相談ください。 
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